「知って得する知らずに損する」不動産知識を分かりやすく説明します。
マイソクの見方の最終回となります。今回は帯(おび)と呼ばれる部分を説明します。ほとんどの方はあまり注目しない場所ですが、実は大事な事がたくさん書かれているのです。
免許番号(登録番号)で不動産屋を見分ける方法がある
確かに、この番号が古いほど業界歴の長いベテラン会社となります。
競合が多い宅建業界において長年ものあいだ経営を継続していくことは容易いことではありません。それだけお客さまの信頼があってのことです。
免許番号は5年ごと(平成8年3月までは3年ごと)に更新されますので現在、免許番号が2桁である場合は少なくとも20年企業となります。
ただし、それだけで判断するのは禁物です。
会社の規模を拡大すると免許番号が小さくなる?
例えば、東京都で開業していた会社が神奈川県にも事業展開した場合には、東京都知事免許から国土交通大臣免許に鞍替えされます。
すると免許権者が変更されることに伴って免許番号は振り出しの(1)に戻ってしまうのです。
もっとも、同じ東京都内で事業の拡大を行うのであれば免許番号に変更はありません。
あくまでも都道府県を跨いだ場合だけです。
ほかにも例外はあるの?
あります。
① 法人成り
個人で開業していた宅建業者が法人として営業を行う場合です。つまり、個人事業主から代表取締役になるケースをイメージするとわかりやすいでしょう。
ただ、個人業者は全体の1割程度と少ないうえ、法人成りするケースは多くはないようです。
② 更新手続きの失念
更新するのを忘れてしまった場合にも番号は(1)にリセットされます。更新は5年に1度であるほか、30日前までに手続きを行わなければいけませんので、ついうっかりなんてこともよくある話です。
③ M&A
近年多いのがこのM&Aです。企業を買収する場合、免許番号までは引き継ぐことができませんので、改めて登録申請を行う必要があります。
免許番号だけでは全てを判断することはできませんが、上記のような例外の場合でもホームページなどで簡単に調べることが出来ますから、番号はひとつの目安になるのではないでしょうか。
何度も社名を変えたりする業者には注意が必要!
業者どうしの隠語!一般客には出せない情報とは
帯をよーく見てください。なにやら見慣れない言葉がありませんか。
これは貸主側の不動産業者(元付業者)から借主側の不動産業者(客付業者)へのメッセージです。もちろん一般向けではありませんので、意味不明な業界用語ばかりです。
AD100 | 成約したときには広告料1ヶ月分をキックバックしてあげますよ。というプレゼンです。お客さんである借主が受け取れるものではありません。あくまでも物件を紹介した客付業者が貰えるものです。バック1とか担B(担当者ボーナス、業界ではタンボと呼ばれています)とか書かれているケースもあります。 |
のっけ可 | 礼金を客付業者の方で自由に設定しても良いですよ。という元付業者からのプレゼントです。本来は礼金がない物件にもかかわらず、礼金1ヶ月とすることによってお金を受け取るのです。 |
外国籍不可 | これは貸主からの指定です。外国人の中には生活習慣の違いから住民とトラブルとなることもあります。また、家賃滞納や原状回復などの場合、国外へ退居されてしまってからではどうすることもできないのが現状です。よって、そうしたリスクを回避したいオーナーからの要望となります。また、水商売不可とする場合も多く見受けられます。 |
飛ばしOK | 営業マンが同行せずにお客だけで物件を内見させることを指します。お客にはカギの保管場所を教えてくれますが、せっかくの見込み客が内見後にそのまま帰宅されては困るので身分証明書を預かっておき、必ず店内に戻ってこれるようにする業者もままあります。 |
こうした隠語(業界用語)を一般客が目にする機会は多くはありません。
なぜなら、業者から送られてきたこのようなマイソクは、帯の部分だけを自社のものに取り換えてからお客に提供するからです。
ただし、毎日大量に送られてくるマイソク全てを取り換えるのは現実的ではありません。通常はそのままファイリングして保管しています。
営業マンはPCで情報収集し、お客にはファイリング資料を渡してくれる業者もありますので、覚えておいて損はないでしょう。
帯に必ず記載されている手数料
手数料とは仲介手数料のこと。
本件の図面を例にすると借主100%となっていますので、家賃の1ヶ月分プラス消費税を賃借人が全額負担します。
客付100%はその手数料を借主側の仲介業者が全額受け取れることを意味します。
通常はこの形態がほとんどですが、借主50%となっている物件も少なからずあります。
家賃、敷金、礼金には消費税がかからないけど仲介手数料にはかかります。
短期間で解約すると違約金が発生?
短期解約による違約金は、すべての物件に設定されるわけではありません。
敷金や礼金が相場よりも低い物件、特にゼロゼロ物件は設定されている場合が多いようです。また、フリーレント付きの物件にもよくみられます。当然といえば当然ですね。
期間は6ヶ月以内の設定が多いですが、1年や2年といった物件もあるようです。もっとも、契約期間は通常2年ですから、こうした物件には要注意です。
また、違約金は家賃の1ヶ月分が相場となっていますが、フリーレント期間が長いとその分だけ違約金も高く設定されるケースがあります。
違約金が設定されると「賃貸借契約書」と「重要事項説明書」の特記事項や特約事項といった項目に記載されることが一般的ですが、「マイソク」の備考欄や帯にも書かれていますので内見前に必ず確認しておきましょう。
違約金は必ず支払わなければいけないの?
転勤や家庭の事情など予期せぬ事態も発生しますよね。ただ、このような特約事項について契約締結時に承諾(署名)している以上は原則、支払い義務が生じてしまいます。
もっとも、原則があれば例外もあります。
消費者契約法によって、一方的に不利益な特約は無効とされていますので、たとえ業者との話し合いが不調に終わってもあきらめず、全国の消費生活センターや公益財団法人日本賃貸住宅管理業協会の居住用の賃貸住宅のトラブル相談に連絡してみましょう。
また、違約金の発生が「賃貸借契約書」だけでなく、「重要事項説明書」の方にもきちんと記載されているのか確認してください。「重要事項説明書」に記載がない場合は業者側の落ち度となりますので有利に働くこともあるようです。