賃貸にまつわる素朴な疑問 第1弾:事故物件と訳あり物件

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「知って得する知らずに損する」不動産知識を分かりやすく説明します。

激安?お得?「事故物件」「訳あり物件」

世間一般で事故物件と呼ばれているものは、実務的には瑕疵物件かしぶっけんといいます

瑕疵とは欠陥欠点のことであり次の4つに分類されます。

① 心理的瑕疵

過去に自殺や殺人事件等があり、借主に心理的な抵抗感が生まれるおそれがあることを指します。

墓地や嫌悪けんお施設(悪臭・騒音・振動・危険等が発生する建物)が近隣にある場合もこれに含まれます。

また、事故死や孤独死も該当することがありますが、たいていの人間は病院か自宅等で亡くなりますから、これでは多くの病院や福祉施設が事故物件扱いになってしまいます

事件性がない場合はあまり気にする必要はないでしょう。

② 法律的瑕疵

建築基準法や消防法等の法律に違反していることを指します。

具体的には、

  • 違法に増築や改築された建物
  • 容積率や建蔽率けんぺいりつオーバーして建築された建物
  • 火災報知器やスプリンクラー等の設置不備

などが挙げられます。

賃貸の場合は借主には関係ないことも多いのです。

③ 物理的瑕疵

土地や建物自体に欠陥があることを指します。

具体的には、

  • 有害物質による土壌汚染(土地)
  • 地盤沈下(土地)
  • 雨漏り水漏れ(建物)
  • シロアリ被害(建物)
  • 耐震強度の不足(建物)

などが挙げられます。

大事なポイント
日本にある建物はたったの2種類に分けられます。
それは新耐震建物旧耐震建物です。地震による倒壊に耐えうる基準が、新耐震建物は「震度6強から7程度」、旧耐震建物は「震度5程度」と定められています。
震度5以上の地震はいつ来てもおかしくありませんし、震度7クラスの地震は遠い昔の出来事ではありません。
物件を借りる際にどちらの基準の建物なのか必ずチェックしておきましょう。
建築年の目安は1981年です。
近年は、旧耐震建物であっても耐震補強している建物も増えてきていますので不動産屋を通して確認してください。

④ 環境的瑕疵

土地や建物自体にはなんら問題はないが、安全で快適な生活をおくるうえで支障となる建物等が周囲に存在していることを指します。

具体的には、

  • 心理的瑕疵で挙げた嫌悪施設
  • 陽当たり風通しに悪影響を及ぼす建物

などが物件の近くにある場合が当てはまります。

どこを見れば事故物件と分かるのか

マイソクや物件情報の備考欄に「告知事項あり」「瑕疵あり」などと記載されているのが一般的です。なかには「一部リフォーム済み」としている物件もあります。

なお、契約時には「重要事項説明書」に記載されます。

事故物件」「いわく付き物件」とは書かれませんのでご注意を。

ネット上には真偽不明な情報も少なからず存在しているので安易に鵜呑みせず、気になる物件があったら不動産屋に確認してください。

なお、マイソクについては、こちらを併せて確認してください。

告知義務は何年?

心理的瑕疵について、国土交通省が令和3年10月に「人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました。

これによると事案発生からおおむね3年が経過した後は、原則として告げなくてもよいことになりました。超高齢化社会の日本では、事故物件扱いされては大変なことになりますから自然死不慮の死(日常生活の中での転倒事故など)についてはそもそも告げなくてもよいことに。

また、借主から質問を受けた場合社会的な影響が大きい事件等の場合には、例外として不動産業者は告知しなければならないとも記載されていますので、少しでも気になる方は質問してみましょう。

売買物件に関しては、3年を経過しても告知義務があります。
金額の小さな賃貸物件と違って影響が大きいからです。

隣の部屋や廊下で発生した事件・事故は教えてもらえるの?

隣の部屋の死については告知義務はありません。

ただし、生活するうえで普段から利用する廊下やエレベーター等の共用部分で発生した死については告知義務が発生します。つまり、「普段利用する場所」かどうかで判断されているのがポイントです。

事故物件はどのくらい家賃が安くなるのか

法律上の規定はありませんが、安くても2割引きです。半額の物件もたくさん見受けられます。

事故物件は入居希望者が通常の物件に比べると非常に少ないので、家賃交渉がしやすい物件でもあります。

また、清掃だけで済ませずに通常であれば行われないようなリフォームまで施工されているお部屋も少なくありません。瑕疵を気にしない方にとっては希少物件となります。

事故物件と訳あり物件との違いは?

事故物件とはこれまで説明してきた瑕疵物件のことを指しますが、訳あり物件は瑕疵物件だけに限定されません。

たとえば、

  • 4階以上でエレベーターがない物件
  • 数年後に取り壊す予定の物件
  • 転勤の期間だけ賃貸に供する物件

などがあります。また、風呂なし物件も含まれるでしょう。

これらは貸主都合であるため家賃が相場よりも安かったり、フリーレントが長く設定されている物件もあるので、訳あり物件は意外とお得感はあります。

訳ありなのに意外な人気物件とは

それは線路沿い物件です。

防音性の高い造りとなっているのに、通常の防音マンションよりも家賃水準が低いのが最大の理由です。

さらに、建物に隣接していなので陽当たり風通しも良好ですし、都心部では最寄り駅にも比較的近いといったメリットがあります。

競争力は低めですから人気エリアにも住めるかもしれません。選択肢に入れてみてはどうでしょうか?

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