賃貸にまつわる素朴な疑問 第3弾:分譲用マンション

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「知って得する知らずに損する」不動産知識を分かりやすく説明します。

分譲用の賃貸物件の方が良いって本当?

マンションには、始めから他人に貸すことを目的に建築された収益用マンション(一般の賃貸用マンション)と購入者自らが居住することを目的に建築された分譲用マンションの2種類に分けられます。

この二つのマンションには大きく分けて8つの点について違いがありますので、以下詳しく解説していきます。

① グレード

収益用マンションの場合は、所有者は費用を抑えつつ収益を最大化することに最も関心があります。

初期費用である建築費や設備費がかさむほど、投下資金を回収するのに時間を要するため、なかなか黒字化できません。そこで、外装・内装・設備等は必要最低限の品質にとどめることにより初期費用を抑えます。

一方、分譲用マンションの場合は、通常は一生に一度の人生を掛けた大きな買い物ですから、長く居住することを前提に高品質な仕様の住宅を求めます。

こうした違いから分譲用マンションはデザイン性に優れたハイグレードな物件が多いのです。

② 間取りと大きさ

たとえ収益用と分譲用のマンションの間取りが同じであっても床面積が異なることがあります。

収益用マンションは、家賃収入を確保できる部屋をひとつでも多く設置した設計であるのに対して、分譲用マンションは居住者の生活の快適性を重視したゆったりとした設計となっています。

よって、開放感のあるリビング広めの収納スペースを配置した間取りといった違いが見受けられます。また、玄関や廊下の大きさだけでなくエントランスやロビーにおいても広さや品質に相違が見られるでしょう。

③ 災害対応

自然災害の多い日本において、近年は防災備蓄倉庫非常用発電機災害用貯水槽などの緊急用設備を設置するマンションが増えてきています。

ところが、こうした設備を設置するのは多くの費用がかかります。

先に述べたとおり、収益用マンションはできるだけ初期費用を抑えることを良しとするので、このような設備がない建物が多いのが現状です。

もっとも、近年においては収益用マンションにおいても賃借人の防災意識の高まりを反映して、入居者のニーズに合わせた最低限度の設備を設置した防災対応マンションも少しずつではありますが増えてきています。これはライバル物件との差別化を図りたいオーナーの戦略でもあります。

④ 遮音・防音性能

分譲用マンションの方が戸境壁こざいかべ(隣接する部屋との間にある壁)やスラブ(床)に厚み(近年では20センチ以上)があるほか、遮音性能がきちんと表示されている物件も多く見られます。

もちろん、壁・床・天井に厚みがあることはメリットとなりますが実際に居住してみると収益用マンションとそれ程大きな違いはないことも多いようです。

分譲用マンションだからといって防音や遮音性能に特にこだわった建物はそれほど多くないのが現状です。これは、見えないところよりも目に付きやすい部分にお金をかけた方が売れやすいといった販売会社の事情もあるのです。

気になる方は管理規約竣工図(しゅんこうず)を請求して確認してみてください。

むしろ、防音性能を謳うマンションが多いのは収益用マンションの方です

⑤ 管理サービス

24時間管理人常駐コンシェルジュサービスが付帯されているのは分譲用マンションの方が多いです。ただ、所有者はその分だけ高い管理費を支払っていますから家賃や共益費等に上乗せされています。

よって、そこまでのサービスを求めない方にとっては割高に感じる方も少なくないはず。

⑥ 規約・特約

分譲用であれ収益用であれマンションには管理規約が存在します。

管理規約とは一棟全体に関する取り決めのことを指しますが、収益用マンションは部屋ごとに所有者が異なるためもう一つの取り決めが存在するのです。

したがって、同じマンション内であっても物件ごとに使用方法の制約」に差異があるのが特徴です。

ただし、ペット楽器事務所使用の可否などの一定の事項については一棟全体の管理規約で定められており、部屋ごとに違いがあることはないでしょう。

⑦ 賃料水準

上記①から⑤までの違いからも分かるように、多額の初期費用を要するのは分譲用マンションの方です。つまり、家賃や管理費等もその分高くなるのは当然のことです。

⑧ 物件数

分譲用マンションはそもそも第三者に賃貸することを前提としていないので、賃貸物件の絶対数は少ないです。

また、オーナー側の事情による一時的な短期賃貸(定期賃貸借)など、契約形態が多様なのも分譲用マンションの特徴のひとつです。

以上のことから、分譲用の賃貸物件は部屋数自体が少なく家賃水準も高めであるものの、グレード・設備・快適性は優れているといえるでしょう

分譲用と収益用はどうやって見分けるの?

大手ポータルサイトの中には「分譲賃貸」のカテゴリーが設けられているものもあります。

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