【実録】店舗物件の探し方-内見・契約編-

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筆者は店舗仲介業と店舗開業の両方の経験者です。以下実例を踏まえて説明します。

希望物件のマイソクをある程度収集できたら、次は内見(内覧)です。

チェックポイントは以下の7つ。これらをきちんと抑えれば内見で失敗することはありません。

ひとつひとつ見ていきましょう。

内見チェックリスト(チェックシート)

① 開口部(入口)

店舗の顔です。入りやすい設計となっているのか、ドアの交換は可能なのかについて確認しましょう。また、大型の備品や厨房機器等の搬入・搬出がスムーズに行えるのか出入口のサイズも測っておきましょう。

② 天井高

専有面積が希望どおりであっても天井高が低いと圧迫感を与えます。また居心地や滞留時間にも悪い影響を及ぼすでしょう。目安は2m50センチです。煙りが発生する重飲食店の場合には3mは欲しいところです。回転率を重視する業態の店舗でしたら、敢えて低い天井もありです。なお、2m10センチ未満の天井は日本では認められていません。

低い天井を高く見せる方法は、こちらの記事で解説しています。

③ 客席(または売り場)と厨房(またはバックヤード)

割合は、

・物販店等 9:1

・飲食店 7:3

・軽飲食店 8:2

が理想です。

飲食店の場合は従業員の着替えや休憩スペース等の確保にも注意してください。

また、厨房はどうしても熱がこもりやすい場所ですので、エアコンや送風機を設置できるのか確認しておきましょう。

厨房機器等のチェックリスト

□冷凍冷蔵庫   □食器棚   □ガスレンジ  □ガスオーブン□調理台
□洗浄シンク□製氷機□食洗機コールドテーブル  □レンジフード
□パイプ棚平棚□エアコン□床面防水□ダクト□グリストラップ  
             グリストラップ

また、内見時に意外と見落としやすいのが、飲食店の場合「食材」、「おしぼり・消耗品・清掃用具等の備品」、「ダストボックス」の設置場所です。作業効率や動線にも影響しますので注意しておきしましょう。

④ コンセント、電気容量

設備機器等の配置に影響しますので、コンセントの位置は要チェック。

また、200V(ボルト)にも対応しているのか、電気容量は50A(アンペア)以上の契約となっているのかについても確認しましょう。重飲食店の場合は60A 以上必要です。

100Vから200Vへと変更しても電気代にほとんど差はありません。切り替え工事も簡単です。

また、一般家庭向けの「従量電灯プラン」ではなく、電気使用量が多ければ多いほど料金がお得になる動力(低圧電力)プランはおすすめです。電気料金が月3万円を超えそうという方はこちらも検討しておきましょう。                                     

出典 株式会社ARS

⑤ 館内規則

管理規約や使用細則という場合も同じです。最低限、次の事項に注意しましょう。

24時間利用可能

休館日にも営業可能

看板のデザインや大きさに制約があるか

工事についての届出や許可の有無

⑥ 周辺環境

競合店視察だけでなく、平日と休日両方における昼間帯夜間帯の人流も確認しておきましょう。

⑦ その他

水漏れ漏電のほか近隣テナント等のトラブル履歴

テナントの入れ替え頻度

・居抜き物件の場合は造作譲渡に含まれるものとその状態

についても確認しておきましょう。

造作譲渡は価格交渉しやすいものです。また、物件の明け渡し日が近づくほど安くなりやすいという特徴があります。

入居の申し込みと契約の締結の注意点

入居審査は原則先着順となります。ただし、2番手、3番手になっても諦めてはいけません。アパートやマンションとは異なり、1番手のキャンセルが意外と多いのが店舗賃貸です。

さらに、予定していた連帯保証人を約束の期日までに用意できなかったり、記載事項の不備等により2番手以降の繰り上げ当選もあり得ます。

筆者の場合、1番手の申し込みではなかったのですが「契約締結を一番最初に確約できる方を優先する」との貸主側の要望がありましたので、翌日に契約のアポイントメントを取り付け無事に物件を抑えることができました。

契約を締結する際の注意事項は、居住用(アパマン)と基本的には同じですが、ひとつ大きな違いがあります。それは事業者の場合、消費者契約法によって保護されないことです。

例えば、賃貸借契約書に「原状回復費用について全額借主負担とする」といった条項や特約が定められていたとします。借主が個人である場合には一方的な不利な決め事として無効となるケースがあります。一方で、事業者の場合はこの取り決めを遵守しなければいけないのです。

法人としてではなく個人として借りるから問題ないのでは?

いいえ、そうとはならないのです。

個人については、「事業として又は事業のために」契約の当事者となる場合には「事業者」とみなされるようです。

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