仲介手数料のカラクリ

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「知って得する知らずに損する」不動産知識を分かりやすく説明します。

そもそも仲介手数料とは?

契約が成立したときに物件を紹介してくれた仲介業者に支払う金額が仲介手数料です。

もちろん契約が成立しなかった場合は一切支払う必要がありません。

また、居住用のアパートやマンション(アパマン)の場合でも、家賃(共益費も含む)・敷金・礼金とは異なり、仲介手数料には消費税がかかります。

家賃には消費税がかからないの?

住まいは国民の生活に欠くことのできない大切な基盤であることから、1991年から居住用に限って非課税となりました。ただし、次の場合は消費税がかかります

①賃貸借契約書に「居住用」「住居用」「住宅用」等、建物の用途を居住用に限定していない場合

②居住用であっても、賃貸借期間が1ヶ月未満あるいは一時的な貸し付けである場合

本来は貸主と借主がお互いに半分ずつ負担(折半)するって本当?

本来は折半が基本ですが、借主の方が全額(家賃の1ヶ月分+消費税)負担することが慣行化しています。

これは、宅建業法上では原則、片方からもらえる仲介手数料の上限は家賃の半月分ですが、例外として借主か貸主のどちらかの承諾を得ている場合は1ヶ月分を受け取ってもよい決まりとなっているためです。

残念ながら、例外の方が一般化されてしまっているのが現状です。

でも承諾した覚えがないけど?

契約前に交付される「重要事項説明書」に記載されていることが多いです。

これにサインすることにより、借主は承諾書の方にサインしていなくても全額負担することを了承したことになるのです。

借主だけが負担するのってずるくない?

貸主の方は仲介手数料こそ負担しませんが、その代わりに広告費の名目で家賃の1ヶ月分プラス消費税を依頼している不動産会社(元付業者もとづけといいます)に支払うことが慣行となっています。

つまり、借主だけでなく貸主の方も家賃の1ヶ月分プラス消費税を負担しているのです。

なんで仲介手数料ではなく広告費とする必要があるの?

宅建業法では仲介手数料は貸主分と借主分あわせて家賃の1ヶ月分プラス消費税を超えて受領することは法律違反になりますから、不動産会社は広告費事務手数料あるいは準管理委託費という別の名目で受け取るのです。

もっともこれにはカラクリがあります。

貸主が負担するこの広告費は、借主が支払った礼金から充当されるので、実質的にはこれも借主の負担となっているのです。つまり貸主の方も損をしない仕組みとなっているのです。

ただし、礼金が無い場合は貸主の負担となりますが。

ここまでの話で気づいた方もいると思いますが、不動産会社が元付業者もとづけ(貸主側の不動産会社)と客付業者きゃくづけ(借主側の不動産会社)の両方を兼ねている場合は、貸主と借主それぞれから家賃の1ヶ月分、合わせて2ヶ月分も受け取れてしまうのです。

仲介手数料が半額や無料の物件があるのはなぜ?訳あり物件なの?

まず、半額の物件は、客付業者きゃくづけ(借主側の不動産会社)の営業戦略です。他決たけつ(他社で契約)されては仲介手数料は受取れませんので、半額をアピールすることでなんとか自社での成約をもくろむ集客作戦です。つまり営業努力によるところが大きいですね。

次に無料の物件は、貸主が全額負担してでも早く契約したい場合、つまり急ぎの物件です。空室期間が長いと当然、家賃も入ってきませんから貸主としては妥協せざるを得ませんよね。

無料物件はむしろ、お得物件だった!?

 おいしい物件ばかりではありません!注意しなければならないポイントが2つあります。

1つ目は、空室期間が長期間に及ぶ物件はなにかしら問題がある場合も多いです。なかなか次の入居者が決まらない部屋に住みたい方は少ないはず。管理体制がしっかりしているのか、迷惑な居住者がいないか不動産屋を通して確認してみましょう。

2つ目は、礼金です。本来は借主が負担すべきではない礼金が上乗せされている場合があります。貸主は借主から受け取った礼金を仲介手数料の支払いに充てることによって、実質的な負担をゼロにしますから、周辺の礼金相場よりも高い場合は要注意です。

実際はほんとのお得物件もある!

それは取引態様が貸主となっている場合です。

不動産屋みずからが貸主の物件には仲介業者が間にいませんから、そもそも仲介手数料は発生しません

さらに、物件の直接の窓口となるため家賃の交渉もしやすいですし、入居審査も自らが行うため仲介業者を介する物件よりも対応がスムーズです。

取引態様はポータルサイトやマイソクにも必ず記載されているので確認しておきましょう。

また、貸主の物件は宅建業法上では重要事項を説明する義務を負いませんが、「賃貸借契約書」と一緒にちゃんと「重要事項説明書」も交付してくれる業者が大半ですのでご安心を。

まとめ

①仲介手数料を貸主と借主で折半することは稀。

 家賃の1ヶ月分プラス消費税は借主が負担するのことが慣行化されている。

②仲介手数料が無料の物件は問題がある場合もある。

③相場よりも高い礼金の物件は要注意。

④取引態様が貸主となっている物件はなにかとお得。

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